京都議定書

地球温暖化の原因となる、温室効果ガスの一種である二酸化炭素 (CO2)、メタン (CH4)、亜酸化窒素 (N2O)、ハイドロフルオロカーボン類 (HFCs)、パーフルオロカーボン類 (PFCs)、六フッ化硫黄 (SF6) について、先進国における削減率を1990年を基準として各国別に定め、共同で約束期間内に目標値(#削減目標参照)を達成することが定められた。

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ただし、京都議定書第3条第8項に基づき各締約国は HFCs、PFCs、六フッ化硫黄の基準年として 1995年を選択できることとされている。この規定は京都議定書の枠内のみである。京都議定書の上位概念である気候変動枠組み条約では、一部の経済移行国を除き、基準年として 1990年しか選択できないこととされている。このため、直近年の温室効果ガス排出量の基準年比増減率が気候変動枠組み条約と京都議定書で異なる値で発表されることがある点に留意が必要である。日本国内では専ら京都議定書の基準年との比較による増減率が提示される。一方、締約国会議 (COP) では条約の基準年を用いた増減率が提示されることが多い。
また、京都メカニズム(CDM、排出権取引(ET)、共同実施(JI))や、吸収源活動が盛り込まれている。
なお、運用細目は、2001年に開かれた第7回気候変動枠組条約締約国会議(COP7、マラケシュ会議)において定められた。

各国の削減目標

議定書で設定された各国の温室効果ガス6種の削減目標。京都議定書第3条では、2008年から2012年までの期間中に、先進国全体の温室効果ガス6種の合計排出量を1990年に比べて少なくとも 5%削減することを目的と定め、続く第4条では、各締約国が二酸化炭素とそれに換算した他5種以下の排出量について、以下の割当量を超えないよう削減することを求めている。

  • 92% (-8%) - オーストリア、ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、ルクセンブルク、モナコ、オランダ、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、イギリス、(欧州連合15か国)
  • 93% (-7%) - アメリカ合衆国(離脱)
  • 94% (-6%) - カナダ、ハンガリー、日本、ポーランド
  • 95% (-5%) - クロアチア
  • 100% (±0%) - ニュージーランド、ロシア、ウクライナ
  • 101% (+1%) - ノルウェー
  • 108% (+8%) - オーストラリア
  • 110% (+10%) - アイスランド

なお、欧州共同体は京都議定書第4条の下で共同で削減を行うこと(バブル)が認められている。欧州が採択するバブルでは、欧州共同体15カ国のそれぞれの削減目標がEU指令で定められている。このEU指令下では、京都議定書策定以前から技術のみに依存するのではなく化石燃料を使わない方法で化石燃料由来排出量を減らしてきた北欧諸国などは京都議定書の目標値が緩く設定されており、例えばスウェーデンは +4%が認められているなど、具体的な成果を挙げている国については相応の評価がされている。

発効条件

発効の条件は、以下の両方の条件を満たす必要がある(京都議定書25条)。
55か国以上の国が締結
締結した附属書I国(先進国、積極的に参加した諸国)の合計の二酸化炭素の1990年の排出量が、全附属書I国の合計の排出量の55%以上
後者の条件について、世界第二位の温室効果ガス排出国であるアメリカ合衆国が国内事情により締結を見送っている。
経済発展をおこなう以上、多量の二酸化炭素を排出せねばならないと考えられたため発展途上国の自発的参加が見送られ、当初は推進していたアメリカ合衆国も後に受け入れを拒否、ロシア連邦も受け入れの判断を見送っていたため、2004年ごろまでは議定書の発効が行われていない状況であった。
2004年に、ロシア連邦が批准したことにより、2005年2月16日に発効した。日本においても,2005年1月26日に公布及び告示され(平成17年条約第1号及び外務省告示第58号)、同年2月16日から効力が発生している。
先進諸国の中で唯一京都議定書から離脱しているアメリカ合衆国政府は、産業界の自己経済利益のみを追求する考え方に基づき取り組みを拒否しているとの非難を国内外から浴びている。同様に離脱していたオーストラリアでは世論の高まりを受けて総選挙により政権交代し、直後の 2007年12月3日に批准した。
なお、日本では2002年5月31日に国会で承認され、2002年6月4日国際連合に受諾書を寄託した。

クリーン開発メカニズム

クリーン開発メカニズム (CDM: Clean Development Mechanism) とは、先進国が開発途上国に技術・資金等の支援を行い温室効果ガス排出量を削減、または吸収量を増幅する事業を実施した結果、削減できた排出量の一定量を先進国の温室効果ガス排出量の削減分の一部に充当することができる制度である。
先進国は少ないコストで削減が可能となり、途上国は技術や資金の供与といった対価が望めるなどの効果がある。

排出量取引

排出量取引 (ET: Emissions Trading) とは、下記 4種類の炭素クレジットを取引する制度である。「排出権取引」「排出許可証取引」「排出証取引」とも呼ばれる。

  • AAU (Assigned Amount Unit) - 各国に割り当てられる排出枠
  • RMU (Removal Unit) - 吸収源活動による吸収量
  • ERU (Emission Reduction Unit) - JI で発行されるクレジット
  • CER (Certified Emission Reduction) - CDM で発行されるクレジット

これらの炭素クレジットを 1t-CO2 単位で取引する。排出量を排出枠内に抑えた国や事業で発生したクレジットを、排出枠を超えて排出してしまった国が買い取ることで、排出枠を遵守したと見做されるものである。 温室効果ガス削減が容易ではない国は少ない費用で削減が可能となり、削減が容易な国は対価を求めて大量の削減が望めるという、2つの効果を念頭に置いている。
京都議定書は国家間での排出量取引のみを定めているが、より効果的な温室効果ガスの削減が可能な国内での排出量取引も行われつつある。しかしながら、排出量の上限を最初にどのように公平に割り振るかが問題であり、一律に割り振ると、既に省エネを徹底していた企業が損をするという問題がある。このため、オークション方式で排出権を購入する方式が広まりつつあるが、当初の購入資金が負担となることや、価格の変動による経営リスクが生じることが問題とされている。
なお、2001年のマラケシュ合意では、排出上の権利を与えるものではないとしており、欧州連合も排出の権利とは認めていない。本来この制度は、排出量の削減による取引上の利益により、さらなる削減意欲を生じさせることを意図したものであるが、逆に排出枠の設定方法によっては過去の排出量が既得権益のようになってしまったり、炭素クレジットの市場価格が化石燃料から再生可能エネルギーへの切り替えや省エネルギー等による排出量の削減にかかる費用よりも割安になってしまった場合に、本来必要な努力を減じさせるおそれもあると指摘されている。
また、近年は関心の高まりを受けて第三者機関が認証する排出削減量 (VER: Verified Emissions Reduction) が民間で取引されるようになったが(カーボンオフセット、グリーン電力証書などを参照)これらは一般に京都メカニズムの枠外で行われる取引である。

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